第二次トランプ政権の通商・関税政策転換、台湾海峡や朝鮮半島における潜在的武力紛争など、地政学リスクは多くの日本企業にとって大規模地震やサイバー攻撃と同等かそれ以上の影響度を持つリスクとして位置付けられています。2001年の米国同時多発テロや2016年の英国EU離脱・米国大統領選挙などを契機に、地政学リスクへの注目が高まり、現在では米中対立、経済安全保障、台湾有事といったリスクが企業の優先課題となっています。
そこで東京海上日動では、タリスマン「地政学リスク最前線:経済安全保障から東アジア有事まで」を発行し、日本企業に大きな影響を与える地政学リスクとその対応に焦点を当てています。本誌は三部構成となっており、第1部では経済安全保障の観点から政策変更リスクを、第2部では台湾海峡・朝鮮半島などの東アジア有事を中心とした武力紛争リスクを、第3部では企業に期待されるリスク管理手法を紹介しています。各領域の第一人者である外部専門家と当社コンサルタントが執筆し、日本企業のリスク管理高度化に貢献することを目指しています。
1-1 日本:「世界にとってかけがえのない国」へ
福永 哲郎(内閣官房内閣審議官、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官)
1-2 米国:米中関係と経済安全保障の今後
佐橋 亮(東京大学東洋文化研究所 教授)
1-3 中国:制度化されるエコノミック・ステイトクラフト
土屋 貴裕(京都外国語大学共通教育機構 教授)
1-4 EU:経済安全保障政策の現状と課題
渡邉 彩恵香(東京海上ディーアール 主任研究員)
1-5 米国共和党:党内力学と経済安全保障政策
八代 慈瑛(東京海上ディーアール 研究員)
1-6 サプライチェーン:「武器化」される経済的相互依存
鈴木 一人(東京大学公共政策大学院 教授、国際文化会館地経学研究所 所長)
1-7 関税:第二次トランプ政権の通商政策の背景と今後
柴田 慎士(東京海上ディーアール 上級主席研究員)
1-8 研究開発:経済安全保障と新興技術の獲得競争
鈴木 和泉(科学技術振興機構研究開発戦略センター 特任フェロー、デロイトトーマツ戦略研究所 研究員)
1-9 データ:経済安全保障の新しい課題
川口 貴久(東京海上ディーアール 主席研究員)
2-1 台湾有事:隔離シナリオのリアリズム
小谷 哲男(明海大学外国語学部 教授、日本国際問題研究所 研究主幹)
2-2 朝鮮半島有事:核ミサイル開発、米朝交渉、核拡散
村野 将(ハドソン研究所 上席研究員)
2-3 南シナ海:「新常態」下での中比紛争
チン・ウェンティ(東京海上ディーアール 主任研究員)
2-4 中東地域:イスラエル一強下の中東情勢の今後
長村 勇汰(東京海上ディーアール 主任研究員)
2-5 ウクライナ戦争:停戦の見通しと地政学的リスク
廣瀬 陽子(慶應義塾大学総合政策学部 教授、同大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI) 副所長)
3-1 経済安全保障リスクへの対応
東京海上ディーアール
3-2 戦争リスクへの備え
東京海上ディーアール
3-3 地政学リスクの予兆把握
小泉 悠(東京大学先端科学技術研究センター 准教授、一般社団法人DEEP DIVE 理事)
※2025年9月時点の所属・役職です。
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発行:2025年10月
提供:東京海上日動火災保険株式会社
作成:東京海上ディーアール株式会社